同じ身体を動かすにしても、人によって様々な捉え方があると思います。人に身体操作を伝える時に、これは良いなと思った伝え方があったので書いてみたいと思います。
例えば机の上にコップが乗ってあるとして、そのコップに近付いて手で取るという動作をします。
そうすると大きくは3段階の動作が必要になります。
机に近付く。
手を伸ばす。
コップを掴む。
こんな感じです。
大抵の人は特に意識をしなくても、この位のことは出来るかと思います。
ただし、
この様な動作を全く経験したことのない小さい子供に教えたり、ロボットにプログラムとして動作をさせたりすると考えるとどうでしょうか?
途端に伝え方に工夫がいると思いませんか?
机に近付くとは?
どうやって?歩いて?飛んで?スリ足で?ゆっくり?早く?
手を伸ばすとは?
どのくらい?早さは?どの位置まで?高さは?身体はどうする?
コップを掴むとは?
どの辺りを掴む?どの位の強さで?指一本ずつの強度は?全部の指を使う?使わない?どんなタイミングで?
などなど
簡単そうに見える動作の一つ一つがこの様な問題を抱えています。
ましてやこれは一つ一つの動作の話ですが、この「動作と動作を繋ぐ」という作業も次の段階では必要になります。
では
全く知らない人に伝えるためにはどの様に伝えたら伝わりやすいか、私見を書いてみたいと思います。
それは、
先ずは雰囲気を見てもらい、雰囲気を真似てもらう。
ただただそれだけ。
初めてや初心者の方に伝える時にお勧めなのがこの「雰囲気」です。
いきなり細かいことを沢山伝えても、動作そのものよりも頭で色々と考えてしまい上手く動けなくなった経験はないでしょうか。
こんな感じ。
最初はそれくらいの情報量で問題なく、後からそれを数経験してもらうことで上手くスムーズになっていくと考えます。
ロボットには雰囲気を伝えることは難しいかも知れませんが、僕ら人間にはなんとなくということはそれなりに伝わる不思議な生き物です。
それはよく擬音で示したりもします。
サッと、フワッと、グッと、ユルっと、サーっとなどなど。
向き不向きもあるかとは思いますが、感覚派の方にはこの様な伝え方が便利です。
勿論理論派の方にはもう少し細かく伝えたりはしますが、最初の段階では一つ一つの動作がバラバラになりやすいという欠点もはらみます。
武術の動作はわざとそうしない限り、身体をバラバラには使いたくありません。
力の流れが途切れてしまいがちだからです。
動作の繋げ方はまた書くとして、その伝え方の順序としては
①全体の雰囲気を伝える
そして、
②細やかな修正箇所を伝える
この順序が伝わりやすく、理解してもらいやすいと考えます。
伝える側としては、理解している側なのでとにかく全てを伝えがちです。
話したくて話したくてしょうがないという気持ちが先行してしまうからです。
でもそうすると伝わらない。
ヤマアラシのジレンマですね(笑)
ゼロから伝える時は、まずは雰囲気のみ伝えるをお勧めします。