結論からいうと、武術の型がその優れた継承方法の一つだと考えます。自身とは違う全くの他人に、技術や思想をコピーすることは生半可では出来ません。このことを書きたいと思います。
継承することはとても難しい。
現代の日本における一つの問題として高齢化社会があります。
その中でも聞いて悲しくなるものの一つに、
優れた文化や技術にもかかわらず継承者がいない為にその代で失われる。
そんな話を聞くことが一つや二つではありません。
継承するモノにもよりますが、年月も掛かり、師弟の相性などにも大きく関わってきます。
だからこその武術の「型」です。
型を正しく行えば、同じ思想、同じ身体、同じ身体操作が出来るように遥か昔の誰かが編み出した奇跡の継承法だと思います。
実際に誰でも再現出来る仕組みを作ることは簡単ではありません。
それは途轍もなく難しい事だと考えます。
それが武術では完成している。
だからこそ価値があります。
ただしこれには注意点が存在します。
型は型でも見ただけでパクられるようなものならば、それはそれで致命的です。
その技術を逆に使われて滅ぼされる可能性があるからです。
なので型には外見を見ただけでは伝わらない口伝や体験でしかわからない秘密が色々と隠されています。
それを解放しなければ、ただの形だけのもの。
そういう優れた性質があります。
ただしデメリットもあります。
その形を真似したとしても、解放の仕方を知らなければどれだけその型を練習したとしてもただの運動と同じになるということです。
そして筋トレのようなものとしては不十分であり、それならば単純に力を増加させた方が遥かに理にかなっています。
正しく伝えるためには、正しいことを知らなければなりません。
そしてそれを自身が再現出来る必要があります。
だからこそ万人への継承は難しいものだと思います。
伝える側の努力。
今の時代はそっちの方が必須な技量ではないでしょうか。
そうでければどれだけ良いものでも廃れる一方です。
全ての人に身体的自由を伝えたい。
その想いだけでは伝わりません。
伝える側の、教える側の努力を惜しみなく研究し、これからも突き進んでいきたいと思います。