ふとした風の匂いや、遠くから聞こえる音。
あるいは、昔よく通った道や、誰かの仕草。
わたしたちは時折、「懐かしさ」に心を動かされることがあります。
それは、ただ思い出に浸るための感情ではなく、
もっと深く、根源的な「帰る場所」を思い出させてくれる感覚です。
わたしが姿勢を伝えているのは、今この瞬間の自分を整えるためであり、
同時に「本来の自分に還る」ためでもあります。
それはどこか、懐かしい感覚とつながっています。子供の頃の無限にチカラが湧き上がるあの時のように。
身体が整うと、自然と呼吸が深くなり、
呼吸が深くなると、心が静かになります。
その静けさの中で、かすかに思い出すのです。
ああ、わたしはもともと、こうして立っていた。
あの頃の、何も持っていなかったけれど、澄んだ感覚で生きていた自分に、また会えた気がする。
懐かしさとは、かつての自分に対する信頼の記憶なのかもしれません。
それを「過去のもの」としてしまうのではなく、
「これからの力」として使うことができたとき、
わたしたちは本当に強く、しなやかになれるのだと思います。
武術の稽古においても同じです。
型を磨くことは、どこか懐かしい動きを何度も繰り返すこと。
そこには、「人間とは本来こう動くべきだった」という、深い叡智が眠っています。
懐かしさは、単なる感傷ではありません。
それは、魂のコンパスとも呼べるもの。
自分が進むべき道を、静かに教えてくれる力です。
わたしはこれからも、その感覚を大切にして、
自分の身体を、人生を、そっと整えていこうと思います。
立芯《旅する姿勢家》
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懐かしさが、力になる。
そのことを、共に感じていけたら嬉しいです。
