身体的自由

師はパントマイム

立ち続けることの最初の難関は動かないことです。この難関を超えるヒントがパントマイムにあるのでこれを書きたいと思います。

身体を100%活用することに近付ける方法として、「立つこと」があります。

ある程度それが出来るようになると、立ち続けるとはまた違うステップが出てきます。

それが、

一つの箇所を完全に固定して、そこに力が加わると身体の何処が動いて力が出てくるかを探る段階です。

例えば

膝の前に壁があり、その壁に向かって膝を押し込む。

壁なので膝は前に出ないが、その代わりに何処が動こうとするのかを探る。

片側だけも両側も試すもの。

膝の後ろになんらかの物があって、後ろに押すもそのモノが動かないというシチュエーションもあります。

肘も同じ。

例えば両肘の外側に架空の壁を作る。

それを押すけれども動かない。

これらは様々なものの一部分。

その時身体がどうなるかを探求する方法の一つ。

これらのことは一体何を探っているのか。

前に行く力で後ろに行き、

後ろに行く力で前に行く。

左に行く力で右に行き、

右に行く力で左に行く。

上に行く力で下に行き、

下に行く力で上に行く。

矛盾した力の出し方を、立ちながら探る。

それはパントマイムに似ているものです。

いや、パントマイムそのものでもあります。

ただ引いたり押したりする力は本物の力であり、最大出力された力量で行うものです。

そうすることによって、通常では使用しない身体の使い方が出来るようになります。

人の身体を最大限に使い切る、身体の動かし方。

理解できれば人を観る目も変わる。

それは手品師が魔法使いになる瞬間でもあると思います。