長くひとつの道を歩んでいると、気づかぬうちに「できる側」の視点から物事を見てしまうことがあります。
それは悪いことではありません。
積み重ねてきた経験や感覚は、確かに価値あるものです。
けれど、わたしが尊敬する「本当のプロ」たちは、
その積み重ねを誇るのではなく、
むしろ「素人の立場」になれる人たちでした。
「なぜそれが難しいのか」
「どこでつまずくのか」
「何が見えていないのか」
自分にはすでに「できてしまっている」ことを、
あたかも初めて出会ったかのように観察し、感じようとする。
その姿勢に、深い敬意を覚えます。
武術や姿勢の指導でも、同じことを感じます。
できない人を「できない」と見るのではなく、
そこに至るまでの経路を一緒にたどろうとする。
そのためには、いったん自分の「できる感覚」を横に置き、
初心者の目線に身体ごと降りていく必要があります。
それは、教える側の謙虚さであり、愛でもあるのだと思います。
本当のプロとは、わからないふりができる人ではなく、
わからない世界にほんとうに共感できる人。
そして、そこからもう一度、一緒に立ち上がれる人だと考えます。
わたしもまた、伝える立場であると同時に、常に学び直す一人の稽古者でありたいと思っています。
たとえ何年積み重ねても、素人の目を忘れずにいること。
それが、道を深めるうえでの大切な在り方だと信じています。
立芯《旅する姿勢家》
わたしの公式LINEでは、教えること・学ぶことの境界を越えて、
誰もが自分の芯から立てるようになるためのヒントをお届けしています。
初心に立ち返りたい方、やさしく深めたい方は、どうぞこちらからご登録ください。
あなたの中の“はじまりの感覚”が、静かに蘇っていきますように。
