「全体最適」という概念をご存知でしょうか？これは、組織やシステムにおいて、各部分が単独で効率を追求するだけでなく、全体として最も良い状態を目指すという考え方です。特定の部位や個別の要素だけの改善ではなく、全体を一つとして見据える視点で成果を最大化することを意味します。
この視点は、政治や経営といった領域だけでなく、私たちの「身体」にも応用できると考えます。各部位が個々の力を発揮しても、全体のバランスが取れなければ本来のパフォーマンスには到達できません。「木を見て森を見ず」というように、各部位の力を過信しすぎて全体の調和を失うと、むしろ限界が生じるのです。
身体においても、1日で結果が出ないこともあれば、1年をかけて少しずつ進展することもあります。特定の部位を強化しているだけでは長期的なバランスが損なわれる可能性があるため、ゆっくりと全体を意識し、全身の調和を築くことが大切です。
例えば、「人を投げる」ためには腕力が必要だ、いや脚力が重要だ、仙骨を意識すべきだというように、様々な意見があります。しかし、私の答えはシンプルで、『全てを使う』ことが最も効果的だと信じています。身体は一つのシステムとして繋がっているものであり、どこか一箇所だけが特に優れていても、全体が一体化していなければ本来の力は引き出せません。
だからこそ、各部位を全体に調和させるように使う「全体最適」の考え方が必要です。一つ一つの部位の働きを最善に揃えることで、ようやく全体としての力が発揮され、身体全体での最適な動作が生まれます。
個の利益や力にこだわるのではなく、全体としてのバランスや調和を追求する。それは、身体の運動だけでなく、国や社会においても同様の視点が求められるのではないでしょうか。私たち一人ひとりの幸せではなく、全員の幸せに目を向けることが、共に前進し続けるための鍵となるのです。
身体もまた、全体最適を目指して、全体が一つの力となる姿を追い求めていきたいと思います。
立芯《旅する姿勢家》
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