かつて、指導者は多くを語らず、「背中」で教えを伝えることが美徳とされてきました。
「見て覚えろ」「感じろ」という教え方です。
しかし、時代は変わり、今求められているのは、その教えの本質をいかに再現性のある「仕組み」として伝えるか、という指導者の努力です。
今の時代、指導者側は、教え子の成長を最優先に考え、何がなんでも伝える努力をする必要があります。
それは、単に「頑張れ」と精神論を押し付けるのではなく、具体的にどうすれば成長できるのかを、明確な「仕組み」として提示することです。
具体的には、指導者は次の三つの手段を最大限に活用すべきです。
言葉で語る：感覚的なものを具体的なロジックで言語化する。なぜその動きが必要なのか、その動作が心身にどのような影響を与えるのかを、論理的に説明します。
行動で示す：自らが模範となり、その型や在り方を見せる。これは、かつての「背中」ですが、単なる美談ではなく、再現可能な実例として示します。
ツールを活用する：映像、テキスト、オンラインでの共有など、現代のテクノロジーを駆使して、時間や場所の制約を超えて教えを届けます。
「一日一立（いちにちひとたち）」の稽古も、単なる感覚的なものではありません。
立つことで、心身の軸が整い、生き方が再生するという一連のプロセスは、誰もが理解し、実践できる体系的な仕組みとして成り立っています。
この仕組みを、丁寧に、熱意を持って伝えることこそが、指導者の責任です。
教え子の成長を止めるのは、教えが抽象的で伝わらないこと。伝える努力こそが、教え子の未来を開く鍵となります。
立芯《旅する姿勢家》
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