人生論

言葉はいらない

とある高級マッサージ店の最上級施術の紹介の中に、「言葉がいらない」という文言があり、これは心に響きました。

本当に良い体験をした時に、それを言葉で表さなきゃいけないのは、そういう仕事をする方には必要かもしれないですが、基本的にはその感じたものを感じたまま味わうということが、本来の姿ではないでしょうか。

「気持ちよかった」「身体が軽くなった」「痛みが取れた」「だるさがなくなった」「すっきりした」など、感想としての言葉はいろいろあります。確かに本当に心地いい体験であったり、本当に美味しいものを食べたときというのは、言葉が出てこないといったような最上の感覚が現れることこそ、本来求めるべきものではないかと思いました。

人に届けるためには言語化が必要。これは僕自身が武術を人に伝えるとなった時に、最難関の課題であったと自覚しています。

自分自身は超感覚派で行っており、自分一人で稽古する上ではそれが全てであったので、何も問題はありませんでした。しかし、これを知りたいという方にいざ伝えようとした時に、まず最初に手こずったのは「言葉が出てこない」というところからでした。

「こうしたら、こうなる」

本気でそんな教え方をしていて、相手の表情にハテナがいっぱい浮かんでいたことを、今でも思い出します。どうすれば伝わるのか。そのことを一番最初に突き詰めた結果、まずは「相手と自分自身の共通言語を探すこと」から始めました。

その共通言語が見つかり、意思疎通がスムーズになって伝わるようにはなってきたものの、ある程度教えた段階で次の問題が起こりました。それが、「言葉だけではどうしても伝えきれないものがある」という問題です。

この問題に対する解決方法として、現在は以下のようなアプローチをとっています。

1. 初級段階
なるべく言語化をして、言葉として分かりやすく伝えます。

2. 中級・上級段階
感覚を感覚のまま渡すようにしています。

感覚をそのまま渡すことの利点は、言語化を徹底しすぎないことにあります。言葉に頼りすぎると、相手が理解できる範疇の言語で伝えなければならなくなります。しかし、「できないことをできるようにする」という変化の段階においては、その言語化されたもの自体が、かえって上達の障害になってしまうことが多いからです。

そのため、現在は「今は分からなくても大丈夫」という共通認識を持った者同士で、以下のようなやり取りを行っています。

「こういう感覚をこれから身につけていく」という方向に向かっているかどうかの確認を、僕がする

このアプローチを実践していることで、教える相手がその感覚そのものをちゃんと使えるようになってきており、やはりこの伝え方は間違いではなかったと感じています。

大和の姿勢講座という中では、1年半経った頃から「姿勢家稽古会」という上級者しか来れない稽古会を設けています。

そこでは本当に感覚を感覚のまま渡すだけの稽古会になっていて、あまり言葉が必要ないような状態になっています。

人と人が向き合った時、対人であらゆる感情や反応が出てきますが、それを一つ一つ頭で理解していっていてはスムーズに動くことはできず、それはコミュニケーションでも同じことが言えます。

最終到達点としては、やはり言葉はいらない世界にもかかわらず、お互いがお互いのことを知り、お互いに寄り添えるような関係性を作るために、このような境地を目指してこれからも進んでいきたいと思います。

あなたの日常が、少しでも深く、芯のあるものになりますように。

立芯《旅する姿勢家》

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◎初出版書籍
「世界一やさしい姿勢の極め方」

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◎2冊目の書籍
「一生モノの姿勢術」

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『死ぬときが最高の「身体」と「心」をつくる 経営者の「健康資産」』

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