健康的自由

足を運ぶ

能楽の歩法のことを、「足を運ぶ」と呼ぶそうです。

これは、武術での歩法の感覚にとても近い。
足はまず地面を蹴って歩くのではない、というところが、すべての始まりになります。

大和の姿勢での表現としては、「肚で足を引いて歩く」とお伝えしていますが、この感覚と「足を丹田で運ぶ」ということは、おそらく同じことを指しているのではないかと考えます。

この歩法の利点は、以下の通りです。

① 身体への負担が低くなる
蹴るという反動を使わず、引いた状態から等速度で動かすことで、身体への負荷を極めて低く抑えられます。

② 隙がなくなる
力が途切れることなく動き続けられるという点で、動作の合間、すなわち「隙」がなくなります。

③ 練習に適した環境を選ぶことで、感覚が掴みやすくなる
この方法は、裸足でやると感覚的に非常に分かりやすいのですが、かかとの部分が分厚いクッション性のある靴を履いていると、体現しづらい状態になります。

なぜかと言えば、一般的な靴の構造そのものが、「かかとから着地し、つま先の方へ重心を移動させて、そのつま先で蹴って歩く」ことを前提に作られているからです。

「足裏全体を使い、肚で引いて歩く」という動作には、道具自体が適していません。

この感覚を身につけるには、以下のいずれかの状態で練習することが好ましいでしょう。

① 底が薄い靴
② サンダル
③ 裸足(最も推奨されます)

どちらにしても、歩くということについて最上のものを追求するならば、まずは「歩いて疲れないこと」が第一です。

次に、膝や腰、足首などに負担がかからないということも大切です。
理想としては、どれだけ歩いても疲れが溜まりにくく、身体も健康であるような歩き方が最も望ましい。
それに最も近いのが、武術の歩法です。

「肚で足を引きながら歩く」この方法は、登山やスポーツ全般でも使えます。
しっかり腕を振って、地面を蹴って歩くことだけが全てではない、ということを知っていただければ幸いです。

あなたの日常が、少しでも深く、芯のあるものになりますように。

立芯《旅する姿勢家》

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