「肚(はら)が大事」という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。日本の伝統的な武術には、この肚を使う技術が当たり前のように組み込まれていました。そこから生まれる技や戦略が、かつての武術家たちの強さの源だったと考えられます。
なぜなら、現代に伝わっている型や技術をそのまま使っても、昔の達人たちと同じようにはうまく使えないことが多いからです。実際、試合でうまく活用できず「あれは役に立たない」と思われてしまうことも少なくありません。
僕自身も、かつては強くなるために筋力トレーニングを行い、体を大きくし、体力をつけることが重要だと信じていました。なぜなら、技術だけでは純粋な力には通用しないという現実を目の当たりにしていたからです。しかし、今振り返れば、肚を使えていなかったことが根本的な原因だったのだと気づきます。
肚を使えるようになるとは、かつての日本人が日常生活の中で自然に行っていたように、特別なことではなく「当たり前のこと」として肚を活用することです。鍛えるという発想ではなく、「使うか使わないか」というシンプルな選択肢なのです。
肚は使えば使うほど、その自由度が増し、さまざまな分野で応用が可能になります。疲れにくく、わずかな動きで大きな力を発揮できる。これこそ、肚を活用する最大のメリットです。
健康面でも、年齢を重ねるにつれて力が必要になると考えるのは自然の流れに逆らう行動です。体力や筋力が衰えていく一方で、肚を自由に使える身体は、年齢とともに成長し、軽やかに動けるようになります。一生を通じて健康で、強く動ける体を維持するための鍵は、間違いなく『肚』にあります。
特に、若い頃にこの技術を習得することを強くお勧めします。実際、僕の本音を言えば、義務教育の中で全員に教えたいほどです。治療家やトレーナー、武術家など、身体の使い方を探究している人々にとって、肚を使う技術はその分野で飛躍的な効果をもたらすはずです。
人類全体の生活習慣に肚の活用を取り入れる——その可能性を考えるだけで、僕はワクワクしています。
立芯《旅する姿勢家》
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