旅する姿勢家として活動している僕ですが、元消防士でもあります。消防という特殊な仕事で経験したことも、このブログで少しずつ書いていこうと思います。
消防士の仕事が一般の仕事と最も違うのは、基本的に24時間勤務であることです。
とはいっても、ずっと起きっぱなしというわけではありません。仮眠時間もしっかりあります。ただ、いつ災害が起こるかわからない。だから、24時間ずっと気を張っている状態で過ごすことになります。
訓練中に出場することもあれば、事務作業中に出ることもある。食事の最中でも、風呂の最中でも、仮眠の最中でも。
それだけではありません。消防の出場は「仕事が来たから向かう」のではなく、「人が逃げるべき場所へ、こちらから積極的に近づいていく」流れになります。
どれだけ訓練を積もうとも、どれだけ知識を学ぼうとも、すべての災害には未知な問題が山積みです。初めて見る場所、初めて見る建物、初めて見る建物の中身、そして初めて接触する人。あらゆる未知の中を嗅ぎ分けながら、事態の収束に向けて動かなければなりません。
しかも、現着まで数分という猶予の中で、装備を整え、思考を巡らせ、大抵の場合はその途中で現場に着いて、すぐに行動が始まります。
そういった緊急事態にいつ向かうかわからない。この一秒後に起こるかもしれない。その緊張の中で、日常の勤務が淡々と続いていく。これが消防士の日常です。
ずっと気を張っていると、心身が持ちません。だからオフにする時間も必要です。ただ、完全にオフにしてしまうと、いざ切り替える瞬間に余計な力が要る「ブレ幅」が生じてしまいます。
そこで自然と身についたのが、テレビでいう「待機電力」のような感覚です。消えているのではなく、小さな気の張りを常に維持したまま、省エネで過ごす。省エネの極みです。
それでも、訓練三昧でヘトヘトの状態から、そのまま7、8時間ぶっ通しで火事に専念することが現実に起こり得る世界です。だから力の配分は、消防の世界では命に関わるほど重要でした。
消耗しながら走り続けるのではなく、常に最小の出力で待機する。この感覚は、消防の世界を離れてからも、僕の身体の中に根づいています。
あなたの日常が、少しでも深く、芯のあるものになりますように。
立芯《旅する姿勢家》
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