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0か100ではない世界

何事も0か100、やるかやらないかで行うことが良いという場面は多いです。
「快か不快か」「やるかやらないか」と、考えをシンプルにする二択はよく使われます。

しかし、こと身体の世界においては、この0か100ではなかなかうまく成り立ちません。

例えば、力をまったく入れない「0」の状態を脱力と呼ぶのだとすれば、0の状態では何も動かすことができません。
では逆に「100」、全力で力を入れることが良いかというと、それでは疲れすぎてしまいますし、身体を痛めやすく持続もしません。

ですから身体に関すること、姿勢や身体全体で均等に力を使うという部分においては、0か100では表せない世界がまずあるのだということを知っておいてもらいたいです。

数字で表すことは難しいとはいえ、僕が理想とする身体操作を数字で表すとすれば、100のうち「1の力」をすべての部位で使う、というのが理想になります。
ほんの少しだけ張っている状態です。

あたかも、糸電話の糸がちょうどよい張りを保っている状態が一番波が伝わりやすく、声がよく聞こえるのと同じです。
これが緩んでしまえば聞こえなくなり、張りすぎると切れてしまう。
その力が一番緩い方に近い、要は力をあまり使わない状態で張っている状態こそが、身体操作における理想と言えます。

これが、いつも「均等張力」と呼んでいる感覚であり、「身体全体を使う」「全身を使う」ということの本当の意味になります。

反対に分かりやすいのが筋肉トレーニング、いわゆる筋トレです。
筋トレというものは、わざと部位を狭めてそこに負荷を与え、そこを大きくする、または力を強くするということに特化しています。
その部位に刺激を与えるという意味では範囲を狭めることは間違っていないのですが、こと「動くこと」に関しては、その部位しか動かないように鍛えて記憶させてしまうため、全体の動きを協調させるという意味では逆のことをしています。

なので、実際に身体を動かすアスリートなどは、筋トレで鍛えた筋肉がそのままでは動けないことを熟知しており、その上で「動ける筋肉に変える」という次の動作を必ず行っています。

そして、この調整がうまくいけばいいですが、うまくいかない場合は、身体を大きく作ったもののうまく動かないということで、1シーズンを不意にしてしまうようなことも多々あります。

一か八かの動きや身体の部位を作るのではなく、おすすめしているのは、常に全身を協調させるための姿勢を作り、在り方を作り、それを競技に生かすという順番です。

そして、その土台となる「全身を協調させる身体」というものは、立つということがままならなければ何もできません。
これは断言できます。
立つことができていないのに構える、動く、走るなどは応用中の応用であり、うまく噛み合わないことは必然とも言えます。

逆に言えば、立つことができて、そこから本質が崩れないまま動くことができれば、何でもできるという状態になります。

世間で有名な方について「この人物は競技が違っても一流になっていただろう」という話を耳にしたことはないでしょうか。
何が違うのか。
ルールや競技すべてが違うにもかかわらず共通しているもの、それは身体です。
その人の在り方をその競技に生かしているだけ、という発想です。

これは一般の方でも同じように再現できます。
立つことから学び、そこから派生していくこの流れを知ること、そして体現することによって、誰しもがあの天才と呼ばれる方々と同じルートを歩むことができます。

ぜひ、0か100だけで考えないようにしながら、身体の深さを味わって楽しんでください。

好きなことを、一生。
今日の一立(ひとたち)が、その入口です。

 

 

立芯《旅する姿勢家》

 

 

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